2018年夏・映画『それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星』が現在公開中です
この映画はアンパンマンのオープニングテーマ曲である「アンパンマンのマーチ」の歌詞に込められた作者・やなせたかし先生のメッセージをテーマに構成されています。
ゴマ夫はかつて受験勉強をしてた頃からこの曲に励まされた記憶があって、とても好感を持っていました。
なんのために生まれたのか?
をアンパンマンの視点そしてバイキンマンの視点で語るという手法なのですが、これマジで大人が見ると心がエグられる作品になっています。
映画のネタバレを含みます。
あくまでゴマ夫の解釈を述べますが、作品を否定するものではありません。
とても良い作品であり、ゴマ夫のようにうつ病などで人生を深く考えるべき時期にある方にぜひ見ていただいて考えてほしい作品だと思っています。
ご理解の上この先をお読みいただけると幸いです。
それではどうぞ!
目次
簡単なあらすじ
今回は「命の星」がポイントの映画です。
かつてアンパンマンは宇宙の果てにある命の星から地球にやってきた流れ星がジャムおじさんの作ったアンパンに宿って生まれました。
そしてバイキンマンはバイキン星からアンパンマンを倒すために地球にやってきたのです。
アンパンマンの故郷ともいえる命の星から一つの生命体が地球に降り立ちます。
それが今回の映画のメインゲストキャラクターの「クルン」でした。
バイキンマンやアンパンマンと交流するのですが、クルンは記憶をなくしており「なんのために自分が生まれてきたのか」がわかりません。
それを交流する人たちに聞いていくのですが中々答えが出ない・・
そんな時、黒い星が地球に降り注ぎ被害が起きます。
命の星に異変が起きていると察知したクルンとアンパンマンたちは
命の星を目指して出発するのでした。
アンパンマンはなんのために生まれたかを知っている
あらすじのとおり、クルンはアンパンマンに何のために生きているのかを問う場面があります。
するとアンパンマンは即答します。
僕は困っている人を助けるためにこの世に生まれたんだ
困っている人を助けると胸のあたりがポカポカするんだよ
だから毎日パトロールしてお腹を空かした人にはパンをあげるんだよ
これ心をエグられました。
こんなまっすぐな気持ちを持てる人ってどれだけいるんだろう?
少なくともゴマ夫は自分の事で精いっぱいでこんな気持ちや考え方があるなんて忘れていました。
なんか恥ずかしい気持ちになって一瞬アンパンマンの目をまっすぐ見れなくなりました。
バイキンマンもなんのために生まれたかを知っている
クルンはバイキンマンにも同様に何のために生きているのかを問います。
その前にバイキンマンて普段どうやって過ごしているかご存知でしょうか?
彼は日夜アンパンマンを打倒するために新しいメカを研究開発することに没頭しています。
おそらく人生のほとんどの時間をこの研究開発に費やすことになるはずです。
具体的には過去のアンパンマンとの戦闘シーンをすべて録画しており
映像で振り返り、そこから得られる情報を元に何が問題だったのかを洗い出し
分析!解析!修正!開発!を行っているわけです。
彼はその人生を賭けてアンパンマンに勝とうとしているのです。
クルンの問いにもこのように答えたわけです。
バイキンマンの人生の目的はアンパンマンに勝つことなのです!
クルンはなんでそんなにアンパンマンをやっつけたいの?そう問いただすわけですが
やっつけたいからやっつけるんだ
バイキンマンはそう言い切るんです。
なんという強い気持ち盲信でかつ猛進です。
きっと心のどこかでアンパンに勝てる日はこないということがぼんやりとわかっているはずなのにそれでも彼はメカを作り続ける。
彼の人生にとってそれが全てなのです。
バイキンマンの強さをとても感じました。
理屈じゃなく自分のやりたいことをやる
自分はそうやって生きていくんだという信念を感じました。
ゴマ夫がいまだに持てない、そして持ちたいという強さをバイキンマンは持っていました。
ゴマ夫はバイキンマン押しになってしまいました。
アンパンマンは眩しすぎて見られないんですよ。
アンパンマンは他人の気持ちがわからない?
ピンチに陥ったバイキンマンをアンパンマンが助けるというシーンがあります。
アンパンマンは敵であるバイキンマンにさえ自分の顔の一部を分け与えようとします。
これってもう究極です
自分を傷つけようとした存在を助けるという行動を何の疑問も持たずに当然の事と思っているんですよね。
それをバイキンマンは受け取るわけにはいきません。
どんなに努力してもアンパンマンを超えることはできない、そんな憎き相手に助けられるなんてバイキンマンのプライドはズタボロでしょう。
というか悔しくて泣いてるんですよ
常人なら立ち直ることは不可能なほどに傷づいたと思います。
バイキンマンはアンパンを受け取らずに逃げ去っていきます。
その姿を見て
クルン『どうしてこんなに美味しいアンパンを食べないんだろ?』
アンパンマン『んー……⁇』
アンパンマンは究極の善です。
素晴らしいですが、ゴマ夫は同時に恐怖を感じる存在でした。
つまり、彼は自分を疑うことを知らないんです。
自分は人を助ける存在であり、悪党ですら手を差し伸べる、自分の体の一部を提供することに何の疑いもない、自分の人生の意味はそこにあり、これを否定する存在は理解できないし、おそらく理解する気持ちがないのでしょう。
だからバイキンマンの気持ちをアンパンマンが理解する日はこないような気がします。
会社の上司とかにこういう発言をする人いませんか?
「僕なにか間違ったこと言ってますか?」
ゴマ夫は自分でこのセリフを言ったことはないと思います。
そして言われるのがすごく嫌いなセリフです。
これとてもアンパンマン的なセリフに感じます。
彼は自分の意見が正しいものだと信じていて、曲げる気もないし、人の意見を理解しようとしないから出る言葉です。
大抵このセリフを言う人はなにを言っても通じないですね。
この盲目的信念というのはある意味人生を幸せに生きるポイントの一つではあるとも考えさせられます。
全ての他人を理解する必要もないですし、自分の行動に感謝してくれる存在も一定数いるなら、そのコミュニティで生きていけば幸せですもんね。
なんのために生まれたのかを知っている人間の強さ
興味はただただアンパンマンに勝つこと、ある意味その思いは純粋でしょう
別に誰かの役に立たなくても没頭できることがあるならその人生は充実していることでしょう。
アンパンマンを打倒することは並大抵の努力では成し遂げられない。
ただその永遠にも近い目標があることでそれが生きる目的に代わっているわけで
そう言う意味でバイキンマンは幸せであるといえるでしょう。
アンパンマンとバイキンマンの生き方は極端に異なります。
お互いを理解することはないのでしょう。
それでも彼らは二人とも幸せな人生を送っているんだろうな
という感想を持ちました。
彼らは何のために生まれたのかを知っている
なにがやりがいでなにが幸せかをわかっているんです。
ジャムおじさんが作中でこう言っています
「世の中には何のために生まれたのかを気づくことができない人も多いんだよ」
ゴマ夫はまだ何のために生まれてきたのかわかりません。
会社に行きたくないとか やりたくないことは結構思いつくんですけどね
ただ、アンパンマンやバイキンマンとは違う生き方をしたいなと思いました。
アンパンマンよりは他人の心を理解したいし、
バイキンマンほど自分の欲望だけに没頭したくない
そんな風に思いました。
だからってどんな生き方をしたいかの答えはでないんですけど
彼らを見ていて何のために生まれたのかを知っている人間は強いなと
そう思いました。